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三菱地所株式会社様 EAT&LEAD 「食のフィールドワーク」レポート3日目・AROUND A TABLE編
2024.08.03三菱地所株式会社の食のプロジェクト「EAT&LEAD」の取り組みの一つ「食のフィールドワーク」の愛媛版を企画・コーディネートさせていただいました。丸の内をはじめ都内で活躍するシェフたちと日本各地をめぐり、その土地に眠る食の宝を掘り起こすプロジェクトです。
- Client
- 三菱地所株式会社 EAT&LEAD
- Delivered
- Coordination / Graphic / Report(Writing/Photos)
「美味しさの本質」ってなんだろう…
その答えは産地(ローカル)にありました。
都心を飛び出し、シェフと巡った3日間。
〜風景・人・想いを感じる、EAT&LEAD食のチーム〜
3日目・AROUND A TABLE編
一人ひとりが「食」と向き合い、真に食べる楽しみを知るために必要なことはなんでしょうか?
「EAT&LEAD」として再始動して、約1年。その答えは産地にあるのでは…そう感じた私たちは、4名のシェフとともに産地を巡るフィールドワークを行いました。
ツアーの最終日には、今回のフィールドワークで出会った食材をシェフが即興でコースに仕立て、生産者の方々と共にいただきます。
私たちの身体を構成する「食」がどのように生まれ、どのように育てられているのか。
全国各地の生産者と深くつながり、その魅力を丁寧に伝える食の探求者であり、
伝道師であるシェフとのフィールドワークは、私たち消費者はもちろん、
産地の人たちにも新しい視点を与えてくれるはずです。
フィールドワークを終え、キッチンに向かうと、コックコートやエプロンをキリッと着こなし、キビキビと動く4人の姿が。
集めてきた食材を手に取るたびに、出会った生産者の顔や想い、景色が脳裏に浮かびます。
参加者が集まってくるまで、制限時間は3時間!
普段はそれぞれのお店のキッチンに立つ4人ですが、力を合わせてお料理とデザートの下準備を進めていきます。
使い慣れないキッチンで、かつ、いつものスタッフではないメンバー…。
にもかかわらず、笑顔でコミュニケーションを取りながら、次々と準備を進めていきます。
一つひとつの食材が、シェフの手を通って、お皿にどんどん盛り付けられて素敵な一皿になる。
その様はまるでオーケストラのよう…。
そして気づけば、参加者のみなさんが来られるお時間に。
無茶々園の西田さんに斎藤さん、のぶりん農園の毛利ご夫妻…と、続々見知った顔が集まってきます。そう、今回ご招待したのは、フィールドワークで出会った松野町と西予市の生産者の方々、約20名。
コースを始める前に、4名のシェフ・パティシエールから、自己紹介と今回のフィールドワークでの感想と、これから提供するコースについてお話しいただきました。
西予市・無茶々園さんの100%ジュースを使ったカクテル・ミモザで乾杯し、「AROUND A TABLE」がいよいよスタート!
シェフ・パティシエールもキッチンに戻って、コースをスタート!
続々とお料理を仕上げていきます。
もちろん、前菜からデザートまで、使っているのはこのフィールドワークで出会った食材ばかり。一皿一皿提供する前に、担当したシェフがお料理の説明を挟んでくださいます。
「このサラダはのぶりん農園の新鮮な野菜を使いました。シンプルに素材の味を楽しんで欲しいからオリーブオイルとお塩、無茶々園さんのレモンを絞ってどうぞ」
「こちらの椎茸のグリルは武本さんのところの椎茸ですよ」
生産者の方々も、「ええ!うちの椎茸がこんなお料理になるんだね〜」
「とっても美味しい。お父さんよかったね!」「わ〜、こんな風にして食べたことなかったけど、とても美味しい。自分の食材がこんな風になるなんて、なんだか誇らしいです」と笑顔で箸を進めます。
シェフ・パティシエールも、みんなの様子をキッチンから笑顔で見つつ、次々と素敵な一皿を提供していきます。今回のコースはデザートを含む合計7品。
今回のフィールドワークで出会った食材で仕立ててくださいました。
●AROUND A TABLE スペシャルコース
乾杯のミモザ
― 無茶々園のジューシーフルーツジュース
朝どれ野菜のサラダ
― のぶりん農園のお野菜・ハーブ
― nuのお野菜・ハーブ
松野しいたけとチーズのグリル
― 武本さんの原木しいたけ
マルゲリータSTG
― 松野町・松ちゃんトマト
― 松野町・バジリコ
どくだみと高菜とサルシッチャのピッツァ
― のぶりん農園のどくだみの根っこ
― まつのジビエのサルシッチャ
しらすと柑橘のリゾット
― 田力本願のにこまる(お米)
― 無茶々園のレモン
― 網元 祇園丸のちりめん
合鴨と鹿のグリル
― 細羽雅之さんの合鴨
― まつのジビエの鹿
― のぶりん農園のブドウ・カキドオシ
お米の豆花 烏山椒のクリーム
― 田力本願のひめの凛(お米)・甘酒
― のぶりん農園の烏山椒・ゆず
会の最後に、4名のシェフ・パティシエールから今回の感想をお聞きしました。
川副さん
どんな土地でどんな方がどんな風に食材を育てているか、そこに興味を持っていただくための料理だと思っています。今回の旅で、食材が当たり前にあるのではなく、第一に自然の恵があって、それを栽培したり、採取したり、狩猟してくださっている方がいるという当たり前のことを、食べながら一瞬でも想いを馳せていただけるようなレストランにしたいとの想いがさらに強くなりました。
また、食事会で生産者の皆さんがとても喜んでくださったのも心に残っています。普段はお客様に食材の背景やストーリーを紹介しつつ、生産者の方へも「こんなお声をいただきましたよ」と言葉でお伝えしていますが、もっと伝えたい、どうしたら感謝の想いが伝わるか考えていました。今回の経験で「やっぱり一番は食べてもらうことだな」って再認識しました。
加藤さん
実際に生産者の方々の元を訪ねて、気候変動が本当に身近に迫っていることを肌で感じました。
今日訪れた真珠の養殖や柑橘畑の豪雨災害もそう。こういったことについて真剣に考えていかないと、10年で取り返しのつかないことになってしまいます。飲食に携わる私たちがリードしていくことも大切ですし、消費者の方達にも今一度、自分の身体を構成する食について考えてもらえたら。
食は文化。単に美味しいから食べるっていうのは、文化じゃなくて快楽だけを求める動物と同じ。食べる責任というか、自分の体に入れる食材に少しでも好奇心を持って、調べて、行動に起こすことが、真の意味での美味しさにつながるんじゃないかなと思います。
岩澤さん
日本のローカルに眠っている宝物を掘り起こして発信する。都市と地方をつなぐ上で、料理人達が発信していくことの重要性を再認識しました。ずっと厨房の中にいると、周りが見えなくなってしまいがちですが、こんなふうにローカルにきて土をいじったり、生産者の方々と一緒に行動たりすることで、気づけることがたくさんあります。
丸の内は世界を代表する発信基地ですが、ローカルをつなぐところでも最先端であってほしいんですよね。今回のフィールドワークのように、エネルギーとポテンシャルのある料理人の力をどんどん使っていったらいいと思います(笑)。
ステファノさん
若くて経験のあるシェフ・パティシエールチームとの協業はとても楽しかったです。
今回のフィールドワークで訪れた生産者の方達も若く、いろいろなことに挑戦していることを目の当たりにしてとても感動しました。若手のシェフと若手の生産者、想いを同じくした同世代の関係が続くのはとても良いと思います。
本物こそ価値。その本物を食べたいって思った時、一番良い食材はやはり地方(作っている場所)にあります。
1日3食、365日。
1年間で1095食。
80年間で87,600食。
生き物は食べることで栄養を補給して生きています。
その中でも人間は食に“美味しさ+α”を求める生き物です。
それは手軽さかもしれませんし、見栄えの良さかもしれません。
舌に感じる美味しさだけかもしれません。
しかし、今回のフィールドワークで感じたのは、
人は「食べる」ことで、目の前の料理から、
人の手、自然の恩恵、エネルギーの循環を感じられるということでした。
そしてその感覚はかけがえのないもので、
「美味しさの本質とは?」の問いへのアンサーなのだと。
生産者の想いをお皿に乗せて提供するシェフ・パティシエールとの旅は、
真の食べる楽しみを知るためのヒントに満ちていました。
泊まったところ
「AROUND A TABLE」協力店
9月26日(火)開催
愛媛を旅したシェフたちによるスペシャルレストラン
「POP UP RESTAURANT 愛媛」
※撮影の際のみ、マスクを外していただいております。
※このフィールドワークは2022年11月下旬に実施されました。